極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
 予約当日の土曜日、二葉は一人で病院に向かった。
 呼ばれた診察室で、内診台と呼ばれる診察用のリクライニングチェアのような椅子に座る。カーテンの向こうには二葉より年上の女性医師がいて、経膣プローブという棒状の装置を挿入されて診察を受けるのだ。
 マタニティ雑誌で診察の流れを読んでから来たので、どういう検査を受けるのかはだいたいわかっている。それでも、初めての感覚に緊張と戸惑いを覚えながら、診察の結果を待った。
「栗本二葉さん。妊娠七週と〇日ですね。心拍確認できましたよ」
 医師がカーテンの向こうから顔を覗かせて、横にあるモニタを示した。黒い画面に扇状の白くぼやけたものが映っているけれど、なにがなんだかよくわからない。
 医師は、中央にある白く縁取られた小さな黒い丸を指先で示した。
「この丸いのが胎嚢ですね。赤ちゃんを包む袋です。その中にあるこの小さいのが赤ちゃんです」
 医師は胎嚢の中でピカピカと点滅しているものに指先を滑らせた。
「これが心臓です。心拍が聞こえますよ」
 医師が機械を操作して、ドッドッドッドッという音が聞こえてきた。
「赤ちゃんの心拍……」
 それを聞いた瞬間、二葉の目にじわっと涙が滲んだ。
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