極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
(私の赤ちゃん。私のたった一人の家族)
「おめでとうございます」
 医師が祝福の言葉を述べた。診察前に記入した問診票で、父親の名前は書かなかったが、〝出産を希望する〟に丸をしていたからだろう。
「はい、ありがとうございます」
「これから大変なこともあるかもしれませんが、あなたを助けてくれる窓口や人がいます。困ったことがあったら、いつでも相談してくださいね」
 医師から優しい言葉をかけられて、二葉の目から涙が零れた。そんな二葉の背中を、そばにいた看護師が撫でてくれる。
「……すみません、ありがとうございました」
 二葉は涙を落ち着かせると、医師と看護師に礼を言って診察室を出た。
 貧血気味なので鉄剤も処方されることになっており、それを受け取って精算すれば今日の予定は終わりだ。
 二葉はソファに座って、診察の最後にもらったエコー写真を眺めた。まだ人の形をしていないものの、それが我が子の初めての写真なのだと思うと、ただただ嬉しくて、喜びを噛みしめる。
(大切にしなくちゃ)
 写真を手帳に挟んでバッグに入れ、代わりにマタニティマークのついたキーホルダーを取り出した。マタニティ雑誌の付録についていたもので、それをバッグの持ち手につける。
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