ハイドアンドシーク
*
「はあぁ……どうしよ、」
昼間の出来事が尾を引いていたのか、その夜のれんは随分と大人しかった。
制服を脱ぎ捨て浅くベッドに腰かけ、もう何度目かのため息をついている。
「性別のこと、バラされたら終わりかも」
「そりゃ男子校に女がいたってなったらな」
「それもですけど、オメガだってこともあっさり知られちゃったしさぁ。わたしあの人きらい……」
嘘をつくのが下手なわけじゃない。
ただ、ちょっとした癖がこいつの嘘を分かりやすくしている。
「お前いま腹減ってる?」
「減ってないよぉ、それどころじゃないもん」
減っている。
それどころじゃなくても、腹は減っているらしい。
相手への罪悪感が深層心理にあるのか、れんは嘘をつくとき鼻に手を持っていく癖があった。
冷蔵庫から取り出したチョコレートを投げて渡すと、思ったとおり喜んで口に放り込んでいる。
素直なやつだ。
「……これでここまで隠し通せたんなら上等だろ」
「え、なに?今なんか言いました?」
俺はこいつも、こいつの覚悟も少し甘く見過ぎていたのかもしれない。
「はあぁ……どうしよ、」
昼間の出来事が尾を引いていたのか、その夜のれんは随分と大人しかった。
制服を脱ぎ捨て浅くベッドに腰かけ、もう何度目かのため息をついている。
「性別のこと、バラされたら終わりかも」
「そりゃ男子校に女がいたってなったらな」
「それもですけど、オメガだってこともあっさり知られちゃったしさぁ。わたしあの人きらい……」
嘘をつくのが下手なわけじゃない。
ただ、ちょっとした癖がこいつの嘘を分かりやすくしている。
「お前いま腹減ってる?」
「減ってないよぉ、それどころじゃないもん」
減っている。
それどころじゃなくても、腹は減っているらしい。
相手への罪悪感が深層心理にあるのか、れんは嘘をつくとき鼻に手を持っていく癖があった。
冷蔵庫から取り出したチョコレートを投げて渡すと、思ったとおり喜んで口に放り込んでいる。
素直なやつだ。
「……これでここまで隠し通せたんなら上等だろ」
「え、なに?今なんか言いました?」
俺はこいつも、こいつの覚悟も少し甘く見過ぎていたのかもしれない。