ハイドアンドシーク
つーか、なんだかんだ言いつつ今もわりと腹括ってんなこいつ。
最初からこうなることも覚悟の上だったのか。
「さいあく退学かなあ……」
「そうなったらどうすんの」
何個目かのチョコレートを口に入れながら、うーん、と考える素振りをする。
「とりあえず、もっと遠くには行くつもり」
「……もっと遠く」
緩慢にうなずく。
「誰にも見つけられないようなところ」
元々、ここを卒業したらそうするつもりだった、と。
今よりさらに北上して、どちらかといえば田舎で、海が近くて、と指折り要望を出していくその姿は。
少なくとも、その未来を楽しみにしているようには見えなかった。