ハイドアンドシーク
「……急に入ってくんのやめろって、心臓に悪いわ」
「ごめんなさい。東雲さんが寂しそうにしてたから」
「爆睡してたんだけど」
うっすらと不機嫌そうに目をあけた東雲さん。
むりやり起こされてお世辞にも機嫌がいいとはいえない。
でも、わたしをベッドから追い出すことはしなかった。
それどころか──
「もっとこっち寄れよ」
「え……?」
「寒いから隙間つくんなって言ってんの」
「東雲さんはなんでわたしに優しくしてくれるの?」
思わず口から出てきた言葉。
「別に優しくしてるつもりねーけど」
「でも、」
「でも、まあ、特別に見えんなら」
重なった言葉の先を紡いだのは東雲さんだった。
わたしの頭を抱き寄せて、呟く。
「それはおまえだからだよ」