ハイドアンドシーク
目に毒なんだよ、と東雲さんは呟いた。
「め、目に毒?」
「いつまでもその格好でいられるこっちの身にもなれっての」
「…あ、ごめん、見苦しかったってこと……?」
「……違ぇよバカ」
東雲さんは呆れたように息を吐く。
まるでわたしが見当違いのことを言ったかのような反応だった。
……ううん、そんなことよりも。
さらしは素肌に巻くもので、つまりわたしは今、なにも身につけていない背中をあらわにしているわけで。
「い、いいって東雲さん……さすがに、恥ずかしい」
「いいから前向いてろ」
「……うぅぅ、」
……どのみち胸は潰さなきゃいけないんだ。
わたしは観念して、おとなしく前を向く。
怪我をしたどの部分よりもずっと、ドクドクと脈を打つ心臓が痛かった。