ハイドアンドシーク
これ以上声が漏れないよう、口をきゅっと真一文字に引き結ぶ。
絶対からかわれると思ったわたしの予想に反して、東雲さんはそれ以上なにも言わなかった。
巻き終えたさらしはキツすぎず、緩すぎず。
文句のつけ所なんてない、完璧な仕上がりだった。
「……は、なんでちょっと不服げなんだよ」
「べ、べつに……ありがとう手伝ってくれて」
あとは自分でできるから、と。
制服を胸に抱いて今度こそ脱衣所へと入った。
鏡に映るその顔は案の定、赤らんでいる。
わたし自身、なんで自分が物足りなさを感じているのかわからなかった。