好き勝手されるのは癪なので、貴様らは絶対に許しません ~という令嬢の報復~
「先程の会話を聞いていたな、少女よ。この街に悪意が迫っている、そう魔物の牙がこの町に迫ろうとしているのだ」

「毎年のことじゃないですか? この辺りは巣も近いですし」

「人々は怯え、幾重にも眠れない夜を過ごすことだろう」

「人の話を聞いていますか? それと、無視して言いたいことだけ話すんですか?」

「この由々しき事態、善良な心を持つ少女が見逃せるはずはない。そうだろう!」

「いいえ別に。どうせ例年通り魔導院の人達が張り切ってくれるんでしょう。
その日、普通に仕事してると思います私」

「そう、見過ごすことができないのだ! 少女の心が人々を守れと訴える、体がそれに突き動かされるからだ!」

 勝手に話を進めないでもらえない? 何言ってんだか意味不明なんだけど。

「というわけで、少女よ。君は討伐に参加する。何故なら使命感に駆られてしまうからだ!!」

「いや、そんな使命感ないです」

「安心したまえ、何も臆することはない。既に君の参加を届けてある。あとは当日参加するだけだ」

 は? ちょっと待ってください、見ず知らずの人。肉親でもないなら何を勝手な事言ってるんですか?

「あなたに一体何の権利があると言うんですか?!」

「照れることはないさ、仲間達はきっと君のことを喜んで受け入れてくれるはずだ」

「嫌です」

「いや、嫌とかじゃなくてさ」

「嫌です」

「聞き分けのないことを言うんじゃない! 君は参加するんだよ!!」

 そう言って肉親でも何でもない、ただの見ず知らずのおっさんは私の肩に触れようとしてきた。
 この場合、不審者に対する対応は決まっている。

「きゃあ!」

 私は悲鳴声を目いっぱいに上げて相手のボディーにレバーブローを決める。
 
「ぐべわ!!?」

 肝臓周辺に深い衝撃を与えられた不審者のおっさんはそのまま泡を吹いて倒れた。
 ああスッキリした!
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