好き勝手されるのは癪なので、貴様らは絶対に許しません ~という令嬢の報復~
 は! いかんいかん、そんなことより私も行かないと。
 周りを見ると、彼らに続けとばかりに後を追い駆ける参加者達。

「僕のデータによればこのタイプの魔物は……」

「おいそこどいてくれ!」

「ちょ、押すなって!」

「どけどけぇ!」

「邪魔だぁ!」

「ぎゃ!」

 しかし、彼らは協調性というものを知らないようだ。
 所詮は有象無象の集まりだしね、私もその一人だけど。

 っていうかなんで固まって動いてんのよ?
 ここは丘陵なんだからもっと散れっての。

 それでも、討伐は進んでいくもので。
 魔導院の人達を皮切りに、ぶつかり合う人と魔物。
 魔物の種類ときたら意外に多種多様。
 スライム型をはじめ、ゴブリン、コボルト、オーク。
 あ、ドラゴンっぽいやつもいるんだ。あれは一体何だろう? リザードマン? 

 それらがヤクザみたいな魔導院の人達に狩られていく、もうどっちが悪者なのか分からないくらいの勢いで。
 そもそも魔導士なのになんで白兵戦もしているんだろう彼らは?
 私が知らない間に魔導士は前衛職になっていたんだろうか?

 参加者の人達もさるもので、火炎瓶を大量に投げつける人もいれば、棘付きの鉄球を振る回している人もいる。
 魔物達も数に物を言わせて攻めているけど、明らかに劣勢だ。
 おっかしいなあ、一応ここに来るまで罠を越えてきた選ばれた魔物らしいのに。

「きゃ!」

 その時、突然背後から悲鳴が上がった。
 声の主は小柄な女の子。振り向いた時には既に魔物達に組み付かれていた。

 まずい! このままじゃあの子食べられちゃう! 助けないと! 

 そう思って走り出した瞬間である、彼女は手に持ったナイフを魔物の脳天へと突き刺した。

「ギィヤァアアアアアアアアアアア!!!」

 断末魔のような叫びを上げて倒れる魔物。
 さらに、ナイフを杖代わりにしているのだろう、爆炎魔法を用いて魔物を内側から焼き尽くしていく。

 つくづく変な奴しかいないなここには!
 さっきのきゃ! は、一体何だったわけよ?

 この状況についていけず、一人、ウェイトレス姿のまま立ち尽くす私を置いて、周りのみんなは次々と魔物を狩っていった。魔物達も敵わないと考えたのか撤退を始めている。

 私、なんで参加させられたんだろうか?
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