好き勝手されるのは癪なので、貴様らは絶対に許しません ~という令嬢の報復~
「え~、今年の魔物は去年と比較しても非常に上質で申し分ない仕上がりだと謂われており、色付きも良く、しっかりとしたボディで、我々魔導院としても実力の表れる年となる事が予想されます」
 
 並んだ魔道士の達の前で、恐らく魔導院のお偉い人がなんらかのスピーチを始めた。しっかしその内容は緊張感に掛けるもので。ワインか何かかな?

「で、ありまして。各職員の皆様並びにご参加下さった方々共々、討伐に励んで頂きたいと願うばかりでございます」

 私は町内の美化活動にでも参加しているのだろうか?
 アホらしい、すっかり呆れ果ててしまった。
 
「最後に、今回の合同討伐作戦の概要ですが……」

 本作戦の目的は飽くまで間引きであり、殲滅ではない事。
 当然ながら、今いる地点を突破されてはならない事。
 魔物達が撤退を始めたら無理に追わない事。
 手に入った素材等は後で回収し、その量と質で今作戦の最優秀者を決めるという事。
 見事最優秀者に選ばれた者には、金一封と感謝状が送られるという事。

「では、そろそろ魔物達も到着する頃合いですので、カウントを開始したいと思います」

 こんな緩い感じでいいんだろうか?
 これで毎年成り立ってるんだからいいのか、納得。

「三、ニ、一、……ではスタートです」 

 お偉い人の掛け声と共に一斉に飛び出していく所属魔導士達と参加者達。
 一番槍を担ったのは、やはり主催者側の人間である魔導士達だ。

「っしゃオラぁあ!!!」

「死に晒せボケがぁあ!!!」

「タマぁ置いてけやダボがああ!!!」

「往ねやぁあああああ!!!」

 知らなかった、魔導院っていうのはヤクザの集まりだったのか。恐っ!
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