私に毒しか吐かない婚約者が素直になる魔法薬を飲んだんですけど、何も変わりませんよね?そうですよね!?
「私も気が滅入るって言ったでしょ。二人でやって二人で休む方が効率的だと思うけど」
「くそ、俺をどうしたいんだ?可愛すぎて気が滅入る」
「言っとくけど、気が滅入るって意味を一度ちゃんと辞書で調べなさい」


『一滴垂らせば素直になる』魔法薬の後遺症かなんなのか。
相変わらずの毒吐きに合わせて彼なりの不器用な愛まで囁いてくるようになってしまったようで。


“そしてそんな素直じゃない彼が可愛く見えるようになるなんてね”

彼の眉間に刻まれる深い皺すらも、私への愛ゆえだと知ってしまったから。

毒を吐かれる度に、いつもならくるりと進行方向を変えていた私だったが今はもうそんなことも必要なく――


「もういっそ同じ部屋にしてしまうのもいいかもね」
「そ⋯っ、れは、いい考えだと、俺も思う」


今日もそっと、私は私に毒しか吐かない婚約者の腕に自身の腕を絡め、一緒の方向に歩き出すのだった。
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