辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました
 リティの言う中央とは、このエモニエ国の王都周辺の地域を言う。

「そうか。まあ、つまりそういうことなんだ」

「えっと……?」

「君も妃候補のひとりなんだよ」

 そう言われたリティは、はしたないとわかっていたのにぽかんと口を開けたまま、思考停止してしまった。

「妃候補……? どうして私が?」

「先日、とある候補者が辞退してね。使用人との間に子どもを作ったとか……まあそれはいい。その空いた枠に君を推薦させてもらったんだ」

「そういう話は親の俺に通してからだろう」

 黙っていたマルセルが低い声で呻く。

「だって君は絶対に反対するじゃないか」

「当たり前だ!」

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