【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます
真っ黒な大蛇に睨まれて、キャシディは一歩も動けなかった。全身から汗が吹き出してくる。
しかし次第に言葉の意味がわかると心が躍った。
自分が全てを手に入れた時、空虚な心が満たされるのではないかとそう思った。
大蛇の言葉にキャシディは先程の聖獣を失った悲しみを忘れて唇がニタリと歪んだ。

(全てを手に入れられるなんて、なんて素晴らしいのかしら……!)

恍惚した表情で高揚する頬を押さえたキャシディから先程の絶望はもう消えていた。


『ヨクブカイオンナダ。ワタシノウツワニフサワシイ』


大蛇が何か言っていたような気がしたが、キャシディには聞こえなかった。 
ずるりと蛇が首に巻きついた瞬間、心臓がドクドクと脈打って、興奮から笑いが止まらなくなった。
キャシディの欲は大きく膨れ上がる。
キャシディはそのままフラフラとした足取りで王城へと戻っていった。

恐らく契約の儀が終わり、雨の中を嬉しそうに帰っていく令嬢や令息達を木の影に座りながら見ていた。
幸せそうに聖獣と笑う顔を見ていると腑が煮えくりかえりそうになる。
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