【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます
(あの子はわたくしの聖獣より大きいから気に入らない……あの子も、わたくしより爵位が低いくせに肉食獣と契約しているのね。消えてなくなればいいのに。あの子もいらない、あの子もダメ)
キャシディのずっと押さえ込んでいたドス黒い感情が表に現れていく。
邪魔者を消したい、破壊的な衝動に襲われていたキャシディは恐怖を感じていた。
自分が自分でなくなっていく。
何かを奪われていくような感覚に震えていたキャシディの前に差し出される小さな手。
「……キャシディ! ここにいたのか、探したんだぞ!?」
「レオナルド、殿下?」
「オルランド公爵も心配している。会場に戻ろう」
「どう、して……?」
「キャシディが心配だったから」
どんよりとした曇り空なのに、そこだけは晴れ渡る空のように美しかった。
アイスグレーの髪や服は雨に濡れそぼっている。
どうやらレオナルドはキャシディを雨の中、探し回ってくれていたと思った瞬間、キャシディの中の黒い気持ちがスッと消え去った。
壊れかけたキャシディの心の隙間がレオナルドの優しさによって埋められていく。
キャシディにはレオナルドしかいないと、そう確信するには十分は出来事だった。
(わたくしにはレオナルド殿下が必要なの……!この人はわたくしの光だわ)