一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 葬式も四十九日の法要も終わったあと、修羅場は訪れた。
 阿佐永家の弁護士が、美礼の存在を祖母に話したからだ。
 非嫡出子、つまり婚姻外で生まれた子は認知されていても基本的には母親の戸籍に入る。一見するとその存在は分からない。だが相続となると、相続人を全員確認する必要がある。美礼は戸籍の上では父の子。もちろん相続権は発生するし、その割合は自分と同じだ。
 父はその相続権を美礼に渡したいがために、自分を父親として届け出たのだ。
 父はそのとき、こう言ったらしい。

『これくらいしか、償う方法が見つからないから』

 本当なら祖父母が先に亡くなり、美礼の存在を知られぬまま過ごせたはずだった。父も自分が先に亡くなるとは思っていなかっただろう。きっと心残りだったに違いない。

 そして想像した通り、祖母は怒り狂った。
 まさか追いやったはずの、自分の夫が外で作った子が、最愛の息子の子として認知されていたなど、考えもしなかっただろうから。

「許さない。あの女の子どもに阿佐永の財産を渡すなど、許されるものですか!」

 母と自分を前にして祖母は感情的に声を荒げた。
 けれど法律上では美礼にも権利がある。同席していた弁護士は、祖母に冷静に言って聞かせたが、祖母の怒りは収まることはなかった。
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