一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 夕方に始まった手術は夜には終わり、叔母と二人会話もなく待っていた自分たちに意識も回復したことが告げられた。
 だが、まだ祖母は集中治療室で、会話するには時間がかかると明日出直すことになった。
 叔母には少しでも食事をとるように言われたが、そんな気持ちになれずシャワーだけ浴びると倒れるように自室のベッドに転がる。何日も睡眠を取っていなかったように、体は重くベッドに沈みこんだ。
 長い一日だった。由依と過ごした幸福な時間は、遠い昔の出来事のように思えた。

(声が、聞きたい……)

 瞼を閉じると由依の顔が浮かんでくる。少しでも声を聞けば、この暗い気持ちは癒されるかも知れない。けれどもう気軽に電話ができるような時間でもない。それに電話をしたところで、明るく会話などできそうにない。
 ゆるゆると腕を伸ばしスマホを持つ。ショートメッセージを開け、しばらく何と送ろうかと考えるが、当たり障りのない文面しか浮かばなかった。

"今日は付き合ってくれてありがとう。また会いたい。必ず連絡するから"

 今日登録したばかりの、"由依"を宛先にそのメッセージを送信する。
 途端に気が緩んだのか、意識は闇の中に引き摺られて行く。それに抗えるはずもなく、そのまま深い眠りについていた。
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