一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
翌日、目が覚めるとまだ早朝だった。皮肉なもので、久しぶりに夢さえ見ず眠っていた気がする。起き上がりスマホを確認するが、メッセージの一つも届いていなかった。
(さすがに……返事はすぐ来ないか……)
それも仕方ないと溜め息を吐く。こんな時間ならまだメッセージ自体見ていないかも知れない。そう自分に言い聞かせた。
午後には叔父から連絡が入り、叔母と二人で病院に向かう。祖母は午前中のうちに集中治療室から、一般病棟に移ったらしい。とはいえ、特別室と呼ばれる個室で、祖父も亡くなる前はその部屋に入っていた。
「悌志さん! お義母さまの容態は?」
「あ、あぁ。安定しているし、受け答えもできている。今は問題ない」
元々夜勤だったのか、そうでなかったのかはわからないが、叔父はほとんど休んでいないのだろう。目の下に色濃く出ているクマがそれを物語っている。疲れた表情で答えている。
「ただ……。いや、なんでもない。顔だけでも見とくか?」
叔父は、父には全く似ていない精悍な顔を歪めて言い淀んでから尋ねた。それに黙って頷くと、叔父に続いて部屋に入る。見覚えのある病室内のベッドには祖母が横たわっていた。
自分たちの気配に気づいたのか、祖母はこちらにゆっくり顔を向けた。
「……礼、志……」
薄らと目を開け自分を見ると、祖母は皺の増えた青白い手をヨロヨロと差し出した。
「礼、志……。貴方……だけよ。貴方は、私を、裏切ったりしない、わよね……」
苦しそうに、途切れ途切れにそう言って祖母は手を伸ばす。
それをただ、愕然としながら眺めていた。
(さすがに……返事はすぐ来ないか……)
それも仕方ないと溜め息を吐く。こんな時間ならまだメッセージ自体見ていないかも知れない。そう自分に言い聞かせた。
午後には叔父から連絡が入り、叔母と二人で病院に向かう。祖母は午前中のうちに集中治療室から、一般病棟に移ったらしい。とはいえ、特別室と呼ばれる個室で、祖父も亡くなる前はその部屋に入っていた。
「悌志さん! お義母さまの容態は?」
「あ、あぁ。安定しているし、受け答えもできている。今は問題ない」
元々夜勤だったのか、そうでなかったのかはわからないが、叔父はほとんど休んでいないのだろう。目の下に色濃く出ているクマがそれを物語っている。疲れた表情で答えている。
「ただ……。いや、なんでもない。顔だけでも見とくか?」
叔父は、父には全く似ていない精悍な顔を歪めて言い淀んでから尋ねた。それに黙って頷くと、叔父に続いて部屋に入る。見覚えのある病室内のベッドには祖母が横たわっていた。
自分たちの気配に気づいたのか、祖母はこちらにゆっくり顔を向けた。
「……礼、志……」
薄らと目を開け自分を見ると、祖母は皺の増えた青白い手をヨロヨロと差し出した。
「礼、志……。貴方……だけよ。貴方は、私を、裏切ったりしない、わよね……」
苦しそうに、途切れ途切れにそう言って祖母は手を伸ばす。
それをただ、愕然としながら眺めていた。