一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
正直なところ、祖母の演技なのではと疑った。だが叔父はそれを否定し、一時的な認知能力の低下だと判断した。
その日、再び目を覚ました祖母は、『礼志を呼べ』と騒ぎ立てた。叔父以外の医師や、看護師たちが落ち着くよう説得しても聞かなかったらしい。まだ病院に残っていた叔父から電話があったのは、叔母と入院に必要な買い物をし家に帰りついたばかりのときだった。
『大智は兄さんに似ているからな……。お前にばかり負担を掛けて悪いな……』
疲れ切った声で謝られて、会いたくないなど言えるはずはない。会ったところで、自分はどう振る舞えばいいのかわからないでいたから。
悶々としたまま病院にとんぼ返りで向かう。病室に入ると、祖母はベッドの背を上げてそこに凭れていた。
「礼志。やっと会えた。どこに行ってたの?」
血色はかなり良くなり、口調もはっきりしている。けれどやはりまだ、自分を父だと認識しているようだ。
曖昧な笑みを浮かべ「すみません」とだけ答えると、祖母は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「手術は礼志がしてくれたのでしょう? おかげで私はこうして生き永らえられたわ。ありがとう、礼志」
見たこともない柔らかな表情で礼を述べる祖母に、『僕は礼志じゃない』なんて残酷な宣告などできなかった。
その日、再び目を覚ました祖母は、『礼志を呼べ』と騒ぎ立てた。叔父以外の医師や、看護師たちが落ち着くよう説得しても聞かなかったらしい。まだ病院に残っていた叔父から電話があったのは、叔母と入院に必要な買い物をし家に帰りついたばかりのときだった。
『大智は兄さんに似ているからな……。お前にばかり負担を掛けて悪いな……』
疲れ切った声で謝られて、会いたくないなど言えるはずはない。会ったところで、自分はどう振る舞えばいいのかわからないでいたから。
悶々としたまま病院にとんぼ返りで向かう。病室に入ると、祖母はベッドの背を上げてそこに凭れていた。
「礼志。やっと会えた。どこに行ってたの?」
血色はかなり良くなり、口調もはっきりしている。けれどやはりまだ、自分を父だと認識しているようだ。
曖昧な笑みを浮かべ「すみません」とだけ答えると、祖母は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「手術は礼志がしてくれたのでしょう? おかげで私はこうして生き永らえられたわ。ありがとう、礼志」
見たこともない柔らかな表情で礼を述べる祖母に、『僕は礼志じゃない』なんて残酷な宣告などできなかった。