一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 ――毎週、土曜日か日曜日には必ず向かう場所がある。
 今日もそこに車を走らせ到着すると、いつもよりかなり早い午前十時だった。

(今日は、目を覚ましているだろうか)

 毎週必ず見舞いに行くのは、祖母との約束だった。最初こそ元気な姿を見せていたものの、この頃は行っても眠っていることが多い。顔だけ見ると、見舞いの品だけ置いて帰ることもよくあった。

 施設に入り受付をしていると、顔見知りの職員に話しかけられた。

「あら、阿佐永さん。珍しく今日は早いですね」
「ええ、午後から所用がありまして」

 由依が今日の午後、家に来ると聞かされたのはたったの二日前。期待と不安、どちらも入り混じった複雑な心境。そんな気持ちを抱えたまま、ここに来た。

 部屋の扉をノックしてみるが返事はない。それはいつものことで、そのまま扉を開けた。
 ふわりと窓から入る秋風が頰を撫でる。窓の外には紅く色付き始めた木々が見えていた。
 その前にあるベッドの上で、祖母は横たわっている。近づくと、眠っているようだった。
 見舞いの品の、季節の果物をサイドテーブルに置き、書き置きでもしようかと思っていると声がした。

「礼志……」

 振り返ると祖母は薄ら目を開けていた。ベッドサイドにある簡易な丸い椅子に腰を掛けると、祖母に話しかけた。

「お加減はいかがですか?」
「……夢を、見ていたの。貴方が……小さな男の子と一緒にいる夢。あれは……誰かしら……」

 小さく小さく、囁くような声。父と自分の姿を夢に見ていたのだろうか。
 彼女はそれだけ言ったあと、再び目を閉じた。
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