一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 由依は柔らかな声色に誘われるようにそちらに向く。パチリと目が合うと、大智は目を細めて穏やかな笑みを浮かべた。

「頑張ってる……んですかね。けれど時々、寂しくなることがあります」

 話しているうちに思い出した。誰にも言えない心に秘めている願いが、ゆっくりと浮上してくるような、そんな感覚。

「寂しいって……?」

 どうしてそんな言葉が出るのだろう? そんな疑問を浮かべて大智は尋ねた。

「子どもたちが園にいるとき、頼るのはもちろん保育士しかいなくて。先生、先生って来てくれるんですけど……。やっぱり家族には勝てませんよね。お迎えが来て帰るときには本当に嬉しそうで……。いいなって、思ってしまいます」

 由依が答えたあとも、大智はまだ腑に落ちないといった表情を浮かべていた。それを見ながら由依は呼吸を整えると、続きを話し出した。

「私、家族がいないんです。両親は私の短大の卒業式の日、事故で亡くなってしまって……」
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