一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 隣から大智が息を呑む気配が伝わる。こんな話をすれば、そうなってしまうのは仕方のないことだとわかっている。
 両親が亡くなって数年が経つ。最初は口に出すことすら、身を切られるようで誰にも言えなかった。ようやく話ができるようになってから、事情を知らない人に話すと、ほぼみんながそんな表情になった。
 けれどそれだけではない。そのあとには誰もが、憐れみや同情の眼差しを向けてくる。なによりもその視線に由依は傷ついていた。だから余程のことがない限り、自分からは打ち明けないようになっていたのだった。
 けれど何故か、大智はきっと大丈夫、そんな気持ちになったのは酔っていたからだろうか。久しぶりに自分の身に起こったことを口にしていた。

「だから……弁護士と……」

 少しの沈黙が訪れたあと、納得したように大智は呟く。由依は頷くと話を続けた。
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