一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 ――夢を見た。

『由依!』
『由依』

 両親が笑いながら自分に呼びかけている。自分の姿は小さくて、笑顔で手を差し出す両親を見上げていた。二人と手を繋ぎ歩き出す。とても幸せで、でもなぜか、無性に悲しくなった。
 精一杯見上げて、一生懸命話しかける。両親は自分に向いて、何か話しているのに、その声は聞こえない。
 
『お父さん! お母さん!』

 笑みを浮かべたまま二人は口を開いているのに、どうしても耳にはその言葉が届かない。
 泣きじゃくる自分の前に二人がしゃがむと、目の前には懐かしい顔があった。二人は手を離し、交互に自分の頭を撫でる。困ったような表情を浮かべて、慰めるように。
 そして不意に両親は立ち上がる。由依はそれに合わせて顔を上げた。二人はそのまま背を向けると、ゆっくりと先に進みだした。由依を置いて。

『待って!』

 追いかけるのに、走っても走っても二人の背中は追いつかない。

『嫌だ! 行かないで!』

 必死で手を伸ばす。けれどその背中は、煙に巻かれたように消えていった。
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