一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 由依が謝ろうと口を開くと、客席から歓声が上がる。プールに視線を向けると、イルカが高くジャンプし、水飛沫を上げてプールに戻っているところが見えた。

「イルカってあんなに高く飛べるんだ」

 大智は初めて目にする光景に、子どものように目を輝かせていた。

「もうすぐ始まるようだよ」

 司会者の女性がステージに向かっているのが見える。由依は頷くと前を向いた。

 ショーにはとにかく圧倒されていた。イルカたちのパフォーマンスは素晴らしく、成功するたび大きな歓声と拍手が巻き起こっていた。
 由依は童心に返りそれを楽しんでいた。そして大智も、由依が想像した以上に楽しんでいるようだった。まるで、子どもの頃できなかった経験を取り戻しているように。
 ショーも後半になると会場の空気より白熱したものになっていた。イルカのヒレで水をかけられて喜ぶ人を見て、由依は「わぁっ!」と声を漏らした。予想以上の激しさだったのだろう。大智は驚いた表情で由依に向くと笑っていた。
 その顔が本当に楽しそうで、大智が今、どれだけ自分に気を許しているのか伝わってくるようだった。
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