一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 大歓声が巻き起こったあと、盛大な拍手が送られ、ショーは終演を迎えた。次々に周りの客が立ち上がるなか、二人は放心したようにまだ波立つプールを見つめていた。

「こんなに声を出したのは久しぶりだな」

 前を向いたまま、大智は自分に問いかけるように呟く。由依が顔を向けると、そのまま大智は続けた。

「熱中できるような出来事は今まであまりなかった。高校生の頃だけかな。友人たちとくだらない話で盛り上がったり、体育祭で夢中になって応援したり。あの頃が一番楽しかったかも知れない」

 大智はどこか懐かしそうな表情でしみじみと語った。

 昨日の様子を思い出すだけで、あの三人とは気のおけない間柄なのはわかっていた。高校を卒業し十年ほど経っているはずだが、いまだに彼らとの思い出は色褪せることがないようだ。反面そんな長い間、それを上回る思い出がないのが不思議でもあり、切なくもなった。
 何と声を掛ければいいのか思いつかず言葉を詰まらせる。そんな由依に顔を向け、大智は困ったように薄く笑みを浮かべた。
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