一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 順路を進むと、暗い通路の先に水槽の並ぶエリアに入った。そこでは、見たこともないカラフルな熱帯魚や小さなサメが悠々と泳いでいた。
 ゆっくりと進みながら、二人で魚を眺めてはとりとめのない会話をする。その会話が途切れても、不思議と不安にはならない。何も話さなくても、つまらないとは少しも感じなかった。

 また先に進むと、さきほどのエリアとは変わり、明るい光が射す長い通路に出た。そこは水中をくり抜いたようにトンネルになっていて、左右だけでなく頭上にも魚たちが泳いでいた。

「あれ……エイ、ですかね?」

 空を見上げるように仰ぎ見ると、ヒラヒラと体を動かしている生き物が少し遠くに見え、由依は指を指した。

「おそらく。上を泳いでいると、お腹が見えるんだね」
「見たいかも! こっちに来てくれないかなぁ」

 無邪気にはしゃぐ由依に、大智も微笑んでいる。邪魔にならないように端に寄りエイの動きを眺めていると、背後で突然、ゆらりと影が動いた。

「えっ?」

 振り返ると真上には大きな大きなエイが、白いお腹を向けヒレをユラユラと踊らせていた。

「大きい……。顔が可愛い……」

 由依はポカンと口を開け、語彙力を失ったように呟く。
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