一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 振り返ると大智が心配そうにこちらを見下ろしている。陽向はまた知らない大人がやって来たからか表情が硬くなった。

「大丈夫だよ、陽向君。せん……私のお友だちなの」

 いつもの癖で自分のことを"先生"と呼んでしまいそうになり、苦笑いしながら言い直す。
 大智は由依の隣にしゃがむと陽向にニコリと笑いかけた。

「こんにちは、陽向君。驚かせたかな?」
「大丈夫! 僕、お兄ちゃんだもん!」

 元々あまり物怖じしない性格なのか、陽向は大きな声で答えた。
 由依は立ち上がると、そんな陽向に話しかける。

「陽向君。私、抱っこしてもいいかな? その方がきっとママのお顔もよく見えると思うの」

 陽向の母も今頃彼を探しているだろう。すれ違ってしまう可能性もある。抱き上げてこちらの存在を見えやすくしているほうが良さそうだ。

「えぇ! いいの? ほんとに?」

 陽向は目を輝かせて喜んでいる。たぶん抱っこしてもらえることが嬉しいのだ。彼の母を責めるつもりはないが、赤ちゃんがいるということは、なかなか彼との時間も取れないのかも知れない。
 
「僕じゃ、だめかな?」

 両手を差し出そうとすると、大智が陽向にそう尋ねた。
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