一つの夜が紡ぐ運命の恋物語を、あなたと
 少し考えたあと、陽向は太陽のように明るい笑顔を見せた。

「ううん? おじちゃんにする!」

 彼に悪気など一切無いが、さすがにおじちゃんと呼ばれ、大智は一瞬驚いたように目を開いた。

「大智さん、あのっ!」

 この年齢なら、下手をすれば大人に見える人物はみんなおじさん、おばさんだ。もちろん言われたほうはまだまだそんな年齢ではないことが多い。たいてい一緒にいる保護者が、慌てて言い直している姿をよく目にする。
 陽向を庇うつもりで大智に呼びかけると、大智は笑いながら陽向に腕を差し出した。

「じゃあ、おじちゃんが抱っこしよう」

 うん、と勢いよく言うと陽向は大智に飛びつく。その小さな体を持ち上げると、陽向の目線はいっきに大智の上になった。

「うわぁ、高ーい!」

 遠慮なく大智の首に片手を回し、陽向は上を見上げてもう一方の手を伸ばしている。

「お空に手が届きそうだよ! お魚が飛んでる!」
「本当だ。たくさん飛んでいるね」

 大智も陽向と同じように上を向く。手を振り上げブンブンと振る陽向を、しっかり腕に抱えている大智はまるで父親のようだ。初めて会った子どもだというのに、とても優しい表情で話しかけていた。
< 79 / 253 >

この作品をシェア

pagetop