愛しい吐息 ~凛々しい婚約者は彼女を溺甘で支配的な愛にとろけさせる~
パーティーは盛況だった。
どこかの会社の何周年かの記念で、ホテルの大広間を貸し切っての立食パーティーだ。
着いてすぐ、雅はどこかの社長らしき青年に声をかけられ、花純に目で合図して離れた。
花純はそっと壁際に寄る。
星を散りばめたような夜景が窓から見えた。
ため息をつくと、ガラスがほんのり曇って、消えた。
「1人?」
声をかけられ、振り返る。
そこにいた男性は10代後半に見えた。ニュアンスパーマのかかった明るい茶髪。くるくると毛先が遊んでいる。ぱっちり二重で子犬のようにかわいい。
彼は薄いグレーの独特のスーツを着ていた。短いジャケットにタイトなボトム。ウエストから伸びるひらひらしたオーガンジーのフィッシュテールスカート。彼の動きに合わせ、優雅に動く。
モデルかな、と思った。パーティーには芸能界の人もよく呼ばれる。
「連れがいます」
戸惑いながら答えた。
「僕と一緒にちょっと外へ出ない?」
「嫌です。こ、婚約者がいるので」
言うだけで花純は赤くなった。
「その指輪が婚約指輪? 地味だなあ。ドレスも地味。あの人の婚約者にふさわしくないよ」
初めて会ったのに、すでに知っているかのような口調。
なんだか怖くなって雅を見た。
雅は先ほどの男性ともめているようだった。
が、花純の視線にきがつくと、男を振り切って花純の元へ走ってくる。
「どうした?」
花純は何も言えずに茶髪の男性を見る。
ああ、と察した雅は花純の肩を抱き寄せた。
「彼女は私の連れなんだ。口説かないでいただけるかな」
花純はようやくほっと息をついた。
彼は挑戦的に雅を見る。
「簡単になびくような女より、僕のほうがいいよ」
「なびいてない!」
抗議する花純を無視して、男性はかわいい笑顔を雅に見せた。
雅は険のある笑顔を返す。
どこかの会社の何周年かの記念で、ホテルの大広間を貸し切っての立食パーティーだ。
着いてすぐ、雅はどこかの社長らしき青年に声をかけられ、花純に目で合図して離れた。
花純はそっと壁際に寄る。
星を散りばめたような夜景が窓から見えた。
ため息をつくと、ガラスがほんのり曇って、消えた。
「1人?」
声をかけられ、振り返る。
そこにいた男性は10代後半に見えた。ニュアンスパーマのかかった明るい茶髪。くるくると毛先が遊んでいる。ぱっちり二重で子犬のようにかわいい。
彼は薄いグレーの独特のスーツを着ていた。短いジャケットにタイトなボトム。ウエストから伸びるひらひらしたオーガンジーのフィッシュテールスカート。彼の動きに合わせ、優雅に動く。
モデルかな、と思った。パーティーには芸能界の人もよく呼ばれる。
「連れがいます」
戸惑いながら答えた。
「僕と一緒にちょっと外へ出ない?」
「嫌です。こ、婚約者がいるので」
言うだけで花純は赤くなった。
「その指輪が婚約指輪? 地味だなあ。ドレスも地味。あの人の婚約者にふさわしくないよ」
初めて会ったのに、すでに知っているかのような口調。
なんだか怖くなって雅を見た。
雅は先ほどの男性ともめているようだった。
が、花純の視線にきがつくと、男を振り切って花純の元へ走ってくる。
「どうした?」
花純は何も言えずに茶髪の男性を見る。
ああ、と察した雅は花純の肩を抱き寄せた。
「彼女は私の連れなんだ。口説かないでいただけるかな」
花純はようやくほっと息をついた。
彼は挑戦的に雅を見る。
「簡単になびくような女より、僕のほうがいいよ」
「なびいてない!」
抗議する花純を無視して、男性はかわいい笑顔を雅に見せた。
雅は険のある笑顔を返す。