愛しい吐息 ~凛々しい婚約者は彼女を溺甘で支配的な愛にとろけさせる~
「僕は千ヶ崎紫苑。20歳。彼女より7つも若いよ」
年齢まで知っていることに、花純はさらに怯える。
「千ヶ崎グループの息子さん。私は桜堂寺雅。彼女は白石花純。私の婚約者だ」
婚約者、を強調して雅は言った。
「結婚はまだってことだ」
紫苑の挑発に、体を震わせた。安心させるように、雅は肩を抱く手に力を入れる。
「雅さん、やり手だってね。ばったばったと敵を倒して業績を上げて。逆恨みも多いんでしょう? 僕と結婚したら千ヶ崎グループを味方につけられるよ?」
花純は雅がもめていた男をちらりと見る。男は雅を見てほかの男性と何事かを話している様子だった。
「モデルもしていらっしゃるとか」
紫苑の発言を無視して雅が言う。
「うれしいな、知ってくれているなんて」
「みんな知ってますよ。人気があるから」
「彼女は知らなかったようだけど」
流行にうとい花純は黙り込んでうつむく。
「私が知らせないのですよ。ほかの男やアルファの情報なんて必要ない」
「ベタ惚れなんだ?」
「そうですよ」
なんの気概も照れもなく雅は肯定する。花純のほうが照れてしまう。
「でもあなたは僕を選ぶ。男性でオメガで、あなたの運命の番だから」
ふふ、と雅は笑った。
「自信家だな。嫌いじゃない」
え、と思って花純は雅を見上げる。
「だが、私はもう運命の番に出会っている」
言いながら、花純の顎をクイっと上げ、口付ける。花純は目を閉じた。
雅は鋭く紫苑を睨み、目を離さない。
「そういうわけだ。お引き取り願えるか」
花純から唇を離すと、雅は言い放つ。花純はとろんと雅を見つめた。
紫苑は悔しそうに花純を睨む。
「本当の運命の番は僕だから」
言い置いて、彼は踵を返した。
年齢まで知っていることに、花純はさらに怯える。
「千ヶ崎グループの息子さん。私は桜堂寺雅。彼女は白石花純。私の婚約者だ」
婚約者、を強調して雅は言った。
「結婚はまだってことだ」
紫苑の挑発に、体を震わせた。安心させるように、雅は肩を抱く手に力を入れる。
「雅さん、やり手だってね。ばったばったと敵を倒して業績を上げて。逆恨みも多いんでしょう? 僕と結婚したら千ヶ崎グループを味方につけられるよ?」
花純は雅がもめていた男をちらりと見る。男は雅を見てほかの男性と何事かを話している様子だった。
「モデルもしていらっしゃるとか」
紫苑の発言を無視して雅が言う。
「うれしいな、知ってくれているなんて」
「みんな知ってますよ。人気があるから」
「彼女は知らなかったようだけど」
流行にうとい花純は黙り込んでうつむく。
「私が知らせないのですよ。ほかの男やアルファの情報なんて必要ない」
「ベタ惚れなんだ?」
「そうですよ」
なんの気概も照れもなく雅は肯定する。花純のほうが照れてしまう。
「でもあなたは僕を選ぶ。男性でオメガで、あなたの運命の番だから」
ふふ、と雅は笑った。
「自信家だな。嫌いじゃない」
え、と思って花純は雅を見上げる。
「だが、私はもう運命の番に出会っている」
言いながら、花純の顎をクイっと上げ、口付ける。花純は目を閉じた。
雅は鋭く紫苑を睨み、目を離さない。
「そういうわけだ。お引き取り願えるか」
花純から唇を離すと、雅は言い放つ。花純はとろんと雅を見つめた。
紫苑は悔しそうに花純を睨む。
「本当の運命の番は僕だから」
言い置いて、彼は踵を返した。