再縁恋～冷徹御曹司の執愛～
「最初は事故にあったのではと警察関係の友人を頼って調査されていました。体調が悪そうだったと聞いてからは各々の病院に問い合わせて、心配しておられました。副社長のあんなに憔悴された姿は初めて目にしました」


耳にした事実に胸が詰まった。

春香さんと渕上さんから教えてもらった彼の情報に、自分の愚かさを思い知った。

私は、自分と目先の事柄しか見えていなかった。

残された惺さんがどんな想いでいるかなんて想像もしなかった。

ううん、騙されたとなかば憎みさえして、深い愛情を信じようともしなかった。

自分への腹立たしさ、情けなさで目頭が熱くなるのを瞬きをして必死にこらえた。

それなのに私を全力で受け入れ、変わらぬ想いを向けてくれた惺さんを今度こそ信じるべきだ。


「渕上さん、教えてくださってありがとうございます。私、惺さんを待っています」


「副社長にお伝えします。きっと、喜ばれますよ」


かつての上司は、優しい声で返答してくれた。

惺さんが帰宅したら必ず話し合おうと決意していたが、私の出勤後や夜中遅くに帰ってくる彼と完全に生活がすれ違ってしまい、なかなか実現しなかった。

彼からは顔を合わせられない件について謝罪のメッセージが届き、渕上さんからは交渉が拗れていると状況を教えてもらい、ふたりの気遣いが申し訳なかった。
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