新人洗濯係がのぞいた秘め事~王太子の秘密を暴いた先にあるのは溺愛か死か~
「でも、誰にも言ってはいけないし、知られてはならないよ。これは大変なことなんだ。今夜12時にまたここに来てくれないか。時計は君の宿舎にもあるよね?」
 優しくささやかれ、リエーヌは顔が熱くなった。

「はい」
「じゃあ、また夜に。誰にも知られないようにね」
 まるで秘密の逢瀬を約束したみたいだ。
 リエーヌの胸は高鳴った。

 * * *

 夜になり、リエーヌは約束の時間に約束の場所でユリックと落ち合った。
 2人はひそやかに移動する。

 恋する人と一緒に居る緊張と秘密の行動による緊張で、心臓は破裂しそうに脈を打つ。
 衛兵にも見つからないように気を付け、足音をたてないように王太子の寝室へと近付く。

 扉の前にたどりつくと、うめき声が聞こえた。
 思わずユリックを見る。

 彼は指を唇の前に立てた。
 2人で扉に耳をつける。

< 15 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop