新人洗濯係がのぞいた秘め事~王太子の秘密を暴いた先にあるのは溺愛か死か~
「私は妊娠して倒れたって聞いたわよ」
別の同僚が口をはさむ。
「最近、ろくに食事もとってないって」
「あら、つわりかしら。でも、結婚してから……計算合わなくない?」
「もう、そんな野暮なこと言うわけ? もちろん前から愛し合ってたに決まってるじゃない」
「でもご懐妊なら公表するんじゃない?」
「時期ってもんがあるのよ」
わかったように言う同僚に、リエーヌは何も言えなかった。
* * *
その夜、リエーヌは眠れずにいた。
彼女がいるのは大部屋で、周りはもう全員が眠りについていた。
昼間に聞いた同僚の話は、以前なら一緒になって盛り上がれたはずだった。
だが今は、いろんなことを考えてしまう。
こつん、と窓になにかが当たる音がした。
気になって窓を開けると、木の陰に馬と共に立つ人影が見えた。
月明かりに照らされたその人を見て、リエーヌは慌てて外に出た。
「ユリック様、どうしてこんなところに」
「君に会いたくなって」
ユリックは羽織っていた外套を脱ぎ、リエーヌに着せた。
リエーヌは顔を赤くした。慌てて出て来たので夜着のままだった。
別の同僚が口をはさむ。
「最近、ろくに食事もとってないって」
「あら、つわりかしら。でも、結婚してから……計算合わなくない?」
「もう、そんな野暮なこと言うわけ? もちろん前から愛し合ってたに決まってるじゃない」
「でもご懐妊なら公表するんじゃない?」
「時期ってもんがあるのよ」
わかったように言う同僚に、リエーヌは何も言えなかった。
* * *
その夜、リエーヌは眠れずにいた。
彼女がいるのは大部屋で、周りはもう全員が眠りについていた。
昼間に聞いた同僚の話は、以前なら一緒になって盛り上がれたはずだった。
だが今は、いろんなことを考えてしまう。
こつん、と窓になにかが当たる音がした。
気になって窓を開けると、木の陰に馬と共に立つ人影が見えた。
月明かりに照らされたその人を見て、リエーヌは慌てて外に出た。
「ユリック様、どうしてこんなところに」
「君に会いたくなって」
ユリックは羽織っていた外套を脱ぎ、リエーヌに着せた。
リエーヌは顔を赤くした。慌てて出て来たので夜着のままだった。