新人洗濯係がのぞいた秘め事~王太子の秘密を暴いた先にあるのは溺愛か死か~
「こちらは進展がなくて。君に会う理由を探せなかった。だけど、がまんできなくて会いに来てしまった」
 言われて、リエーヌは泣きたくなった。

「どうしたの?」
「不安で。怖くて」
 そう言うと、ユリックはリエーヌを抱きしめた。

 リエーヌは突然のことに驚き、声も出ない。ユリックの腕の中が温かくて、胸がひときわ大きく高鳴った。
「私が一緒に調べようなんて言ったからだ。すまない」
「いいんです」
 リエーヌは思わずユリックにしがみつく。

「ほかに何かあったの?」
 聞かれて、リエーヌは話す。同僚が語った噂話を。
「酷い目に遭ってらっしゃるのでは、と、気が気でなくて」
 ユリックは顔をしかめた。

「お倒れになったという話は私も聞いた」
 リエーヌをだきしめたまま、ユリックは言う。
「眠らせない拷問がある、と聞いたことがある」
 ビクッとリエーヌは震えた。

「拷問なんて」
 ユリックの口からそんなおそろしい単語を聞くことになるとは思ってもみなかった。
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