新人洗濯係がのぞいた秘め事~王太子の秘密を暴いた先にあるのは溺愛か死か~
「食事をとらせない虐待もある。ますます心配だな。周りは仲睦まじさの結果と思っているようだが……だとすると、なおさら王太子妃殿下の窮状に気が付く者はないということだ」

「は、早くお助けしないと」
「そうだね。まだ誰にも言ってないね」
「もちろんです」

「殿下が優しい顔の裏で妻に暴力をふるっているとなると、とんでもないスキャンダルだ。君の口からそれが漏れたとなれば、君自身がどんな目に遭うかわからない。決して誰にも話してはいけないよ」
「はい」
 リエーヌは青ざめた顔でうなずいた。

 ではまた、会いに来るから。
 そう言って、ユリックは馬に乗って去って行った。
 リエーヌは不安を押し殺してその姿を見送った。

 * * *

 翌日、ユリックは王太子ルネスランの私室を訪問した。
 2人は日ごろから親しくしており、訪問を怪しむものは誰もいない。
「あれから進展は」
 ルネスランがたずねる。

「洗濯係の件ですか?」
「そうだ」
「あの1名のほかは気づいていないようです」
 その1名こそがリエーヌだった。
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