【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!
 声の主は、それまで沈黙を貫いていたベアトリスだった。
 
 彼女は透き通った曇りなき瞳で王妃とフェルナンを見つめている。

「いいでしょう。話してごらんなさい」

「寛大なお心に感謝申し上げます。──我がバレリー伯爵家の汚名を返上するため、この場で私に、セレーナの出生と過去を明らかにする機会をくださいませ」

「出自と過去を明らかに? 具体的になにをするというのです?」

「この場で、セレーナに『過去視の聖魔法』を使うことをお許しください」

 ベアトリスの申し出に、王妃は黙ってうなずき許しを与えた。

 大人しくしていたセレーナはたまらず「過去視の聖魔法ですって?」と呟き、目の前に来たベアトリスを見て嘲笑(あざわら)う。

「そんな大聖女級の魔法、アンタに使える訳ないじゃない」

「あら、私を見くびらない方がよろしくってよ」

 そう言ってベアトリスがパチンと指を鳴らすと、辺りが一瞬白い光に包まれ、次の瞬間には広間に巨大な水鏡が出現する。

 いとも簡単に聖魔法を使ってみせたベアトリスは、不敵な笑みを浮かべて強気に言い放った。

「セレーナ。貴女の化けの皮、この場で全て剥いであげるわ!」

 その言葉を最後に、セレーナの意識は急速に遠のき──。

 ひとりの女の過去と記憶が、水鏡に浮かび上がった。
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