その推し、死なせません~悪役令嬢に転生した私、ループを繰り返しラスボスを救う~
「あの……ステイシアさんは他の攻略対象についてご存知ですか? カイラス・セバスティーンやミーシャ・アレーシェフについて」
「攻略対象ってのはよくわかんないけど知ってる。騎士団長の息子かなんだかと、お忍びでどっかから来てる女にモッテモテの優男でしょ。あいつらがどうかしたの?」
「実は――」

 紙安は元の世界で作られた物語のサブルートの内容を掻い摘んで明かした。
 ルキスだけでなくカイラスやミーシャもロゼの伴侶となり得、彼女をエンディングに導く存在であることを。

 するとステイシアは盛大に鼻を鳴らした。

「は~ん……ロゼの奴、いい生活してんのねぇ、ムカつくわ……。けど、もしかするとそっちの選択で今までと違った視点が得られるのかもしれないのか……」

 口を尖らせていたステイシアだが、彼女はやがて仏頂面で頷いた。

「やってみなさいよ。どの道、ここにいる間はあたしは外の行動にほとんど干渉できないし……お前に任せる」
「……いいんですか?」
「他に方法は無いし、今のあたしに行動を縛る力もない。それにお前、意外と根性はあるし、自分で考える頭も持ってた。後は……少なくともお前なら、お兄様を見捨てることだけはしない……でしょ?」
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