茨の蕾は綻び溢れる〜クールな同期はいばら姫を離さない〜
再びにっこりとした陽翔は、彼女から見れば発言内容も相まって、たいそう不気味に見えているに違いない。実際に彼女は陽翔の側から飛びずさり、ぶんぶんと首を縦に振った。彼女の目尻に光る物が見えていたが、却ってそれは陽翔の中の憤怒に燃料を投下させてしまう。
「それにしても百子を傷つけた挙句、卑怯者だと罵る貴女が、百子の見舞いに来た理由は何なんでしょうね? 大方点数稼ぎか、一方的に百子に恨み辛みをぶつけるためでしょうけど」
「そ、そんなつもりは……! 私はただ……先輩が心配で……」
彼女の目が泳いでいるのを見て、陽翔は図星だと確信した。言い訳や誤魔化しを重ねる木嶋に閉口した陽翔は、さらに低く畳み掛けた。
「近づいた男が彼女持ちの人間だと分かっていながら、同棲している家に行きたいと言う神経を持ち、なおかつそれを実行する貴女の言葉のどこを信用しろと?」
木嶋はビクッとして恐怖の色を陽翔に向ける。弘樹と二人しか知り得ない情報を、目の前の彼が持っていることに得体のしれない恐怖が這い上がってきたのだ。
「なんで……そのことを……!」
「簡単ですよ。深山さんに直接聞きましたので。彼にも少しだけ《《忠告》》させていただきました。本当に貴女達は同じような反応をなさいますね。深山さんがいるというのに、俺にコナを掛けるとは、どういう神経をしているか一度解体して直接見てみたいものです。裏切り者同士お似合いですね、貴女達は」
絶句したままの木嶋に、陽翔は歌うように告げる。震える彼女の声が再び謝罪を紡ぐが、陽翔は胡乱げな視線を寄越すのみだ。
「東雲さん、先輩を傷つけてごめんなさい……もう今後先輩と関わりませんから……! だから……!」
「それは誰に対しての謝罪なんでしょうね? 本当に深山さんと貴女はやることなすこと同じで吐き気がします。あ、この会話は録音しているので、百子に関わろうものなら……ね?」
縋るような目をした木嶋を見るのに閉口した陽翔は、彼女に背を向けて中庭を出ようとしたが、一度振り返って心の底からの笑顔を見せた。
「貴女には感謝してますよ。百子を傷つけたのは業腹ですが、貴女と深山さんが引っ掻き回してくれたおかげで、百子という得難い婚約者と出会えたのですから」
陽翔は大げさに頭を下げ、靴音をさせて中庭を出る。陽翔の背後を一際冷たい木枯らしが吹き抜けていったが、中庭を出ると日没前の太陽が、雲の隙間から陽翔を照らしていた。
「それにしても百子を傷つけた挙句、卑怯者だと罵る貴女が、百子の見舞いに来た理由は何なんでしょうね? 大方点数稼ぎか、一方的に百子に恨み辛みをぶつけるためでしょうけど」
「そ、そんなつもりは……! 私はただ……先輩が心配で……」
彼女の目が泳いでいるのを見て、陽翔は図星だと確信した。言い訳や誤魔化しを重ねる木嶋に閉口した陽翔は、さらに低く畳み掛けた。
「近づいた男が彼女持ちの人間だと分かっていながら、同棲している家に行きたいと言う神経を持ち、なおかつそれを実行する貴女の言葉のどこを信用しろと?」
木嶋はビクッとして恐怖の色を陽翔に向ける。弘樹と二人しか知り得ない情報を、目の前の彼が持っていることに得体のしれない恐怖が這い上がってきたのだ。
「なんで……そのことを……!」
「簡単ですよ。深山さんに直接聞きましたので。彼にも少しだけ《《忠告》》させていただきました。本当に貴女達は同じような反応をなさいますね。深山さんがいるというのに、俺にコナを掛けるとは、どういう神経をしているか一度解体して直接見てみたいものです。裏切り者同士お似合いですね、貴女達は」
絶句したままの木嶋に、陽翔は歌うように告げる。震える彼女の声が再び謝罪を紡ぐが、陽翔は胡乱げな視線を寄越すのみだ。
「東雲さん、先輩を傷つけてごめんなさい……もう今後先輩と関わりませんから……! だから……!」
「それは誰に対しての謝罪なんでしょうね? 本当に深山さんと貴女はやることなすこと同じで吐き気がします。あ、この会話は録音しているので、百子に関わろうものなら……ね?」
縋るような目をした木嶋を見るのに閉口した陽翔は、彼女に背を向けて中庭を出ようとしたが、一度振り返って心の底からの笑顔を見せた。
「貴女には感謝してますよ。百子を傷つけたのは業腹ですが、貴女と深山さんが引っ掻き回してくれたおかげで、百子という得難い婚約者と出会えたのですから」
陽翔は大げさに頭を下げ、靴音をさせて中庭を出る。陽翔の背後を一際冷たい木枯らしが吹き抜けていったが、中庭を出ると日没前の太陽が、雲の隙間から陽翔を照らしていた。