茨の蕾は綻び溢れる〜クールな同期はいばら姫を離さない〜
つらつらと不安を挙げる百子につられ、陽翔の表情が次第に曇り始める。その様子を見てしまったと思った百子は口を噤んでしまう。陽翔のそんな表情を見たいがために、不安を口にした訳ではないのだ。
「……そうか、そんなに不安だったのか……俺も浮かれてる場合じゃないな」
沈んだ陽翔の声に、百子は強く首を横に振った。
「陽翔、ごめんなさい……幸せな所に水を差しちゃって……」
今度は陽翔が首を横に振る番だった。陽翔は百子がいつも以上に不安を抱えていると気づき、彼女を抱き寄せて頭をゆるゆると撫でた。
「そんな顔しなくていい。俺は百子を責めたんじゃなくて、単に俺の能天気さにちょっと腹立っただけだ。子供を宿した女性ってのは、やっぱり責任感が強いんだなって思ったな。不安があるのは、母親になるって覚悟を決めてるからこそ出てくるんだと俺は思う。俺も親になる覚悟を決めないとな……だから百子、不安を口にすることを怖がらないでくれ。子供のことの不安は百子だけの物じゃねえ。不安をどうしていくかは俺もちゃんと考えるから、どうか一人で悩まないでくれ……」
(陽翔、そんなことを考えてたの……)
百子は返事をする代わりに、陽翔の腕に回している手に力を込めた。百子の不安の大半は、どうやって協力して子育てをするかということだったので、陽翔の言葉は、まるで乾いた地面に春の雨が降ったように、じんわりと染み渡ったのだ。目の奥が熱くなっていた百子は、陽翔の胸に顔を埋めながら、くぐもった声で感謝を述べる。
「うん……ありがとう、陽翔……! 私……妊娠の体調不良は一人で何とかしないとって……自分だけで子育てしないと駄目かもしれないって思って……子供にとっていい環境を作れるかとか、色々浮かんじゃって……!」
(そんなに悩んでたのか……やっぱり母親になる人間は違うな。俺もちゃんと大人にならないと……百子の手伝いをするんじゃなくて、百子と協力して、二人で子育てをしていきたい。そのために色々調べて、少しでも寄り添えるようになりたい)
しゃくり上げながらしがみつく百子の頭を撫で続けながら、陽翔はしっかりとした声で口にした。
「俺達は夫婦だからな。百子の不安は俺の不安でもある。不安のことで、いつでもすぐに相談に乗れるかは分からないが、ちゃんと時間を取るようにするから。どうしていくか、これから二人でしっかり決めような。不安は一つ一つ潰していけばいい。俺も色々調べていくから、二人で親になろうな」
陽翔は今日は夜も遅いから、明日以降に話そうと告げ、百子を横抱きにしてベッドへと向かい、ゆっくりと彼女をベッドに寝かせる。目尻にキスを落として彼女を抱き締めると、百子は安心しきったようで、ふにゃりと陽翔を見上げて微笑み、その唇が陽翔の唇に触れた。
幸せそうに寝息を立てている彼女の頭を撫でていた陽翔は、寝息を子守唄にしたかのように、夢の中へと意識を蕩けさせていく。
そこで陽翔が見たのは、百子によく似た娘と、百子と三人でピクニックに行っている、幸せな夢だった。
「……そうか、そんなに不安だったのか……俺も浮かれてる場合じゃないな」
沈んだ陽翔の声に、百子は強く首を横に振った。
「陽翔、ごめんなさい……幸せな所に水を差しちゃって……」
今度は陽翔が首を横に振る番だった。陽翔は百子がいつも以上に不安を抱えていると気づき、彼女を抱き寄せて頭をゆるゆると撫でた。
「そんな顔しなくていい。俺は百子を責めたんじゃなくて、単に俺の能天気さにちょっと腹立っただけだ。子供を宿した女性ってのは、やっぱり責任感が強いんだなって思ったな。不安があるのは、母親になるって覚悟を決めてるからこそ出てくるんだと俺は思う。俺も親になる覚悟を決めないとな……だから百子、不安を口にすることを怖がらないでくれ。子供のことの不安は百子だけの物じゃねえ。不安をどうしていくかは俺もちゃんと考えるから、どうか一人で悩まないでくれ……」
(陽翔、そんなことを考えてたの……)
百子は返事をする代わりに、陽翔の腕に回している手に力を込めた。百子の不安の大半は、どうやって協力して子育てをするかということだったので、陽翔の言葉は、まるで乾いた地面に春の雨が降ったように、じんわりと染み渡ったのだ。目の奥が熱くなっていた百子は、陽翔の胸に顔を埋めながら、くぐもった声で感謝を述べる。
「うん……ありがとう、陽翔……! 私……妊娠の体調不良は一人で何とかしないとって……自分だけで子育てしないと駄目かもしれないって思って……子供にとっていい環境を作れるかとか、色々浮かんじゃって……!」
(そんなに悩んでたのか……やっぱり母親になる人間は違うな。俺もちゃんと大人にならないと……百子の手伝いをするんじゃなくて、百子と協力して、二人で子育てをしていきたい。そのために色々調べて、少しでも寄り添えるようになりたい)
しゃくり上げながらしがみつく百子の頭を撫で続けながら、陽翔はしっかりとした声で口にした。
「俺達は夫婦だからな。百子の不安は俺の不安でもある。不安のことで、いつでもすぐに相談に乗れるかは分からないが、ちゃんと時間を取るようにするから。どうしていくか、これから二人でしっかり決めような。不安は一つ一つ潰していけばいい。俺も色々調べていくから、二人で親になろうな」
陽翔は今日は夜も遅いから、明日以降に話そうと告げ、百子を横抱きにしてベッドへと向かい、ゆっくりと彼女をベッドに寝かせる。目尻にキスを落として彼女を抱き締めると、百子は安心しきったようで、ふにゃりと陽翔を見上げて微笑み、その唇が陽翔の唇に触れた。
幸せそうに寝息を立てている彼女の頭を撫でていた陽翔は、寝息を子守唄にしたかのように、夢の中へと意識を蕩けさせていく。
そこで陽翔が見たのは、百子によく似た娘と、百子と三人でピクニックに行っている、幸せな夢だった。