神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
「目を覚ましてください、マシュリさん」
私は、必死に彼に訴えかけた。
早く解放して欲しいからではない。ただ心の底から純粋に、彼の誤りに気付いて欲しかった。
ナツキ様の命令に従って、もっともっと罪を犯す前に。
取り返しがつかなくなる前に、どうか目を覚まして欲しい。
「皇王様は…あなたを利用しているだけです。言葉巧みにあなたを操って…」
マシュリさんはこれまでずっと、一人ぼっちで孤独に耐えてきた。
その辛さがどんなものか、その苦しみが如何ほどのものか、私にもよく分かる。
とても辛いですよね。耐えきれないほどに辛いんですよね。
私もそうでした。アトラスさんに会うまでは、ずっと。
そしてマシュリさんは今、その孤独のせいで盲目になってしまっている。
ナツキ様は、そんなマシュリさんに目をつけた。
「居場所」を与える、「家」を与えると言ってマシュリさんを釣って、彼の能力を…利用しようとしているだけ。
「いくら皇王様に従っても、皇王様はあなたに報いるつもりはないでしょう。ただあなたを利用し…使えなくなったら捨てる。それがあなたの価値ですか?」
そんな使い捨ての道具にされる為に、あなたは『HOME』に所属しているのですか。
このまま『HOME』にいて、ナツキ様に従っていても。
「あなたの欲しいものは、永遠に手に入りません。ただ罪を重ね、憎しみを増やし、孤独を増長するだけです」
「…」
「どうか目を覚ましてください。あなたが欲しいものを手に入れる為に、本当はどうするべきなのか…よく考えてください」
あなたを顎で使うナツキ様に従っていても、あなたの求めるものは手に入らない。
ナツキ様はただ、「居場所を与える」と言ってあなたの前に餌をチラつかせ、命令に従わせているだけなのだから。
「本当は誘拐なんて、したくなかったんでしょう?」
「…何で、そう言えるの?」
そんなの決まっています。
「だって、あなたは私を殺していませんから」
マシュリさんが、本当は誘拐なんてしたくなかったのだということは明白だ。
「聖魔騎士団を弱体化させたいなら、本当に私をどうにかしたいのなら、あなたは私をここに連れてくる必要はありませんでした」
あのとき、私の執務室の中に侵入してきたとき。
あの時点で、私を不意打ちで暗殺することだって出来たはず。
それが一番手っ取り早くて、確実な方法だった。
わざわざ連れ去るような真似をして、今もこうして、私を殺さずに閉じ込めている。
手荒に扱われることも、危害を加えられることもない。
マシュリさんには、私に対する敵意なんて欠片もない。
マシュリさんの心の中にあるのは、一つの感情だけ…。
「…寂しいんでしょう?マシュリさんは」
親に構って欲しくて、悪戯をして気を引こうとする子供と同じだ。
マシュリさんはただ、寂しいだけなのだ。
私は、必死に彼に訴えかけた。
早く解放して欲しいからではない。ただ心の底から純粋に、彼の誤りに気付いて欲しかった。
ナツキ様の命令に従って、もっともっと罪を犯す前に。
取り返しがつかなくなる前に、どうか目を覚まして欲しい。
「皇王様は…あなたを利用しているだけです。言葉巧みにあなたを操って…」
マシュリさんはこれまでずっと、一人ぼっちで孤独に耐えてきた。
その辛さがどんなものか、その苦しみが如何ほどのものか、私にもよく分かる。
とても辛いですよね。耐えきれないほどに辛いんですよね。
私もそうでした。アトラスさんに会うまでは、ずっと。
そしてマシュリさんは今、その孤独のせいで盲目になってしまっている。
ナツキ様は、そんなマシュリさんに目をつけた。
「居場所」を与える、「家」を与えると言ってマシュリさんを釣って、彼の能力を…利用しようとしているだけ。
「いくら皇王様に従っても、皇王様はあなたに報いるつもりはないでしょう。ただあなたを利用し…使えなくなったら捨てる。それがあなたの価値ですか?」
そんな使い捨ての道具にされる為に、あなたは『HOME』に所属しているのですか。
このまま『HOME』にいて、ナツキ様に従っていても。
「あなたの欲しいものは、永遠に手に入りません。ただ罪を重ね、憎しみを増やし、孤独を増長するだけです」
「…」
「どうか目を覚ましてください。あなたが欲しいものを手に入れる為に、本当はどうするべきなのか…よく考えてください」
あなたを顎で使うナツキ様に従っていても、あなたの求めるものは手に入らない。
ナツキ様はただ、「居場所を与える」と言ってあなたの前に餌をチラつかせ、命令に従わせているだけなのだから。
「本当は誘拐なんて、したくなかったんでしょう?」
「…何で、そう言えるの?」
そんなの決まっています。
「だって、あなたは私を殺していませんから」
マシュリさんが、本当は誘拐なんてしたくなかったのだということは明白だ。
「聖魔騎士団を弱体化させたいなら、本当に私をどうにかしたいのなら、あなたは私をここに連れてくる必要はありませんでした」
あのとき、私の執務室の中に侵入してきたとき。
あの時点で、私を不意打ちで暗殺することだって出来たはず。
それが一番手っ取り早くて、確実な方法だった。
わざわざ連れ去るような真似をして、今もこうして、私を殺さずに閉じ込めている。
手荒に扱われることも、危害を加えられることもない。
マシュリさんには、私に対する敵意なんて欠片もない。
マシュリさんの心の中にあるのは、一つの感情だけ…。
「…寂しいんでしょう?マシュリさんは」
親に構って欲しくて、悪戯をして気を引こうとする子供と同じだ。
マシュリさんはただ、寂しいだけなのだ。