神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
―――――――…シュニィが、必死に誘拐犯の説得を試みているとも知らず。




俺とシルナ、ナジュの三人は、聖魔騎士団魔導部隊隊舎にやって来ていた。
 
…非常に、うんざりとした気分だった。

…すると。

「あ、学院長先生」

「あ…吐月君、それに皆も…」

丁度、隊舎のエントランスに、お馴染みのメンバーが揃っていた。

聖魔騎士団魔導部隊大隊長の面々である。

吐月、ジュリス、キュレムとルイーシュ、それにクュルナまで。

エリュティアと無闇はいないが、恐らくエリュティアは今も、探索魔法でシュニィの居場所を探し続けているのだろう。

無闇は、そんなエリュティアの補佐をしているんだと思う。

ベリクリーデもいないけど…。

…ベリクリーデは多分、その辺を散歩でもしてんじゃないかな。

「どうしたの、皆揃って…」

その表情を見るに、愉快な集まりではなさそうだな。

「これから、もう一度シュニィの部屋を検めようと思ってな」

と、ジュリスが言った。

ジュリスは今回、シュニィに代わって聖魔騎士団魔導部隊隊長代理を務めているそうだ。

本人は否定するだろうけど、ジュリスはシュニィに負けないくらいのリーダーシップがあるからな。

適任と言えるだろう。

何なら、シルナよりリーダーに相応しいんじゃね?

「羽久が私に失礼なこと考えてる気がするけど…。…今は疲れて、突っ込む気にもなれないや…」

「そうか。そりゃ良かった」

「それで…もう一度シュニィちゃんの部屋を探すって?」 

と、シルナは聞き返した。

「あぁ。如何せん、そんなことでもしないと、こっちも八方塞がりでな…」

ジュリスがそう答えた。

さすがのジュリスも疲れた顔してるな。美男子が台無しだ。

「エリュティアはよくやってくれてるが、相変わらず手がかりはゼロだし…」

「そっか…」

「アトラスは驚くほど静かなんだが、近づいたら小声でずっとシュニィの名前を連呼し続けててな」

「…」

「あんなアトラス、見てるだけで寿命が縮むよ」

…そうか。

苦労してんな、ジュリス。

アトラスの奴、どうしているんだろうと心配していたが。

ひたすら、ずっと「シュニィシュニィシュニィシュニィ…」って呟いてんだろ?

ホラーかよ。

本腰入れて何とかしないと、このままじゃ聖魔騎士団そのものが危うい。

アトラスを正気に戻す為にも、せめて手がかりの一つでも見つけなくては。
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