神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜
…それで、少しでも手がかりを得る為に、今から今一度、シュニィの部屋を検める訳か…。

何か見つかれば良いんだがな。

「ところで、お前らはどうしたんだ?こんな時間に。何かあったか?」

ジュリスが、俺達三人にそう尋ねた。

「あぁ、うん…。実は放課後ずっと、色々な人に聞き込み調査をしてたんだけど…」

「聞き込み?」

「魔導隊舎近くの近隣住民の皆さんに、目撃情報がないか聞いて回ったり…。近くのお店や病院や、色んな施設を回って、何か変わったことがないか聞いたり…」

色々駆けずり回ったよ。それこそ手当り次第にな。

…しかし。

「…その様子だと、結果は惨敗だったようだな」

「…面目ないよ…」

誰もが口を揃えて、「知らない」を連呼していたよ。

あれだけ必死に駆け回って、有益な情報一つないとは…。

さすがに疲れもするよ。

警察って大変なんだな。毎日こんな地道な調査をしてるんだろ?

偉いよ。俺達なんか、今日一日だけでぐったりだ。

「いっそ、懸賞金をかけて全国に捜索を呼びかけた方が、効果があるんじゃないかと思うほどだよ」

「…気持ちは分かるが、さすがにそれは無理だろ」

だよなぁ。

「聖魔騎士団副団長が行方不明だなんて、国民達に知られたらどうなるか…。それこそ、シュニィを拉致した犯人の思うままだ」

「…うん、そうだよね…」

きっと国内は大きく荒れ、治安が乱れ、激しく動揺することだろう。

あくまでシュニィの失踪は、国民達には黙っておかなければならない。

そのせいで、あまり大っぴらに捜索が出来ないでいるのだが…。

でも、それでシュニィが見つかるなら、失踪を公表しても良い気がする。

本当に切羽詰って、他にどうすることも出来なくなったときの、最後の手段だな。

「じゃあ、お前ら今、暇なのか?」

「暇…って程でもないけど…」

聞き込み調査が空振り続きで、そろそろ精根尽き果ててきたところだ。

少し休息を取るつもりで、聖魔騎士団までやって来たのだが…。

「良かったら、一緒にシュニィの部屋を探さないか。人手は多い方が良い」

と、ジュリス。

…そうだな。

皆必死になって捜索を続けているのに、休んでいる暇なんてないよな。

老体のシルナにはキツいかもしれないが、もうひと踏ん張りだ。

「分かった。行こう、シルナ。ナジュも」

「そうだね。少しでも手がかりが見つかるかも…。…ナジュ君も良いよね?」

「…」

シルナが振り返ると、ナジュは無言で、そっぽを向いていた。

…何やってんだ?

「ナジュ君?どうしたの?」

「…え?あぁ、はい。何ですか?」

…話聞いてたか?お前…。

「ボーッっとしてる暇ないぞ。分かってるか?」

「別にボーッとしてた訳じゃないですよ」

本当かよ。

とにかく、お前も一緒に来てもらうぞ。

ジュリスの言う通り、今は一人でも人手が多い方が良いからな。
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