ホストに恋して破滅した私ですが、高級キャバ嬢になってイケメンオーナーから愛されています。
コールに混ざって戸惑いの声はまだ聞こえてくる。
日奈子は気にせず蓋の開いたボトルを受け取った。

そしてカズへ向き直る。
「この前この店の前で騒いでる女性客を見かけたけど、なんだったの?」

「あぁ、あれ? なんでもないよ。俺のファンが暴れてただけ」
ただのカマかけだったけれど、やっぱりそうことが多くあるらしい。

それでもカズの素行が直っていないということは、店ぐるみで客の人生を狂わせているんだろう。
日奈子は切ない気持ちになった。

破滅させられた客に対してではなく、そうしないといけないと思っているカズが可愛そうで。
日奈子は立ち上がると、ボトルをギュッと握り直した。

そしてそのままカズの頭上で逆さまにした。
高級なお酒がドボドボとカズの頭に降り注いでいく。

ボトルが空になるのはあっという間だった。
いつの間にか周囲は静まり帰り、客もキャストも呆然としている。
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