クズ男に囚われたら。
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けれど、いつもの違うことをした次の日には、いつもと違うことが起こるもので。
「な……っ。どういうつもりなの、瀬能」
「んだよ。橘花がそうしろって言ったんだろ」
「そ、それはそうなんだけど」
次の日の朝。
昨日と同様、生活指導のため校門に立っていたわたしの目の前に、いつもと違う瀬能が現れた。
ネクタイが……きちんと締めてある。両耳のピアスも、ない。
髪色は相変わらずシルバーアッシュだけど、それでもわたしには青天の霹靂だった。
「頭でも打った……?」
「あ?ひでぇ言いようだな」
「だって、瀬能が身なり整えてくるなんて……」
今までも散々言ってきた。
でも本当に直してくるとは正直可能性の半分も考えていなかった。
で、実際に瀬能が直してきたことは一度たりともなかった。
……のに。