クズ男に囚われたら。
「な、なんだったんだろうあれ……」
一方、わたしはといえば目を丸くするばかり。
瀬能、本当に頭でも打ったんじゃないかってくらい変だった。
……もしかして昨日、待ってた?
わたしがドタキャンみたいなことしたから怒ってる?
……なんて、そんなこと思ってみたけれど、どうも瀬能がそんなことを考えるだなんて想像がつかない。
いつものらりくらりなアイツが、そんなこと……ね。
「ナナちゃん、瀬能くんとそんなに仲良かったっけ?」
「わっ、びっくりした〜……」
そんなことを考えていたタイミングで、突如目の前に人影が現れた。
思わずのけ反ったわたしに、その人物は「ごめんごめん」とクスクス笑う。