クズ男に囚われたら。
「今日は行くんだね、七帆ちゃん」
そして放課後になって、昨日とは違い帰り支度をしないわたしに栞はそう言った。
さすがというか何というか、栞にはやっぱり隠し事ができない。
「んー……まぁ。なんか機嫌損ねちゃったみたいだし」
「それも本当なんだろうけど、七帆ちゃんだって行きたいんでしょ。瀬能くんのとこ」
「……そんなことは、」
「ないって言えないくせに〜」
意地悪い笑みを浮かべた栞は、ツンツンとわたしを肘で小突く。
依存だね、と。
やっぱりわたしは、瀬能遊という男から抜け出せない。
とうに栞にはバレているんだ。わたしが気づくよりも、先に。
来るもの拒まず去るもの追わずの瀬能には、わたしから距離を置けばもう関係は終わる。終わらせられる。
それがわかっているのに、また瀬能に会いに行こうとしているのがその証拠。