イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「ない、ない……」
わたしはキョロキョロしながら、登ってきた道を下る。
辺りは誰一人おらず、わたしが地面を踏む音しか聞こえないほどシンと静まり返っている。
「ああ、やっぱり見つからない……」
探せど探せど、目的のものは一向に見つからない。
「うわ。12時20分……」
スマホで現時刻を確認すると、山頂に着いていないといけない時間をとっくに過ぎていた。
キーホルダーのネコを見つけたい一心で、つい勢いであの場を飛び出してきちゃったけれど。
大事なものを探しもせずに簡単に諦めるなんてことは、できなかったから。
「……でも、さすがに戻らないとまずいよね。みんなにも迷惑かけちゃう」
下山するときに、もう一度探してみたら良いかな。
そう思ったわたしは、下ってきた道をようやく引き返そうとしたが。
───ズルッ!
「きゃっ!」
足を滑らせてしまい、わたしは地面に尻もちをついてしまった。