イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない


「痛たたた。ああ、ドロドロだ……」


 転んだせいで手が少し擦りむいて、ズボンも土で汚れるし。大事なキーホルダーはなくすし……ほんとついてない。


 少し涙目になりながら、わたしが立ち上がろうとしたとき。


 遠くから、誰かの足音がした気がした。


 え……?


 ザッ、ザッ。


 足音は、少しずつ大きくなってきて。


 うそ、誰かがこっちに近づいてくる……?


 他の登山客? それとも……クマ!?


 こんな辺り一面、木が生い茂っている険しい山道なら、クマとかの動物がいてもおかしくないだろうし。


 わたしは最近テレビで、登山客がクマに襲われて大ケガをしたというニュースを立て続けに見たことを思い出した。


「ひぃっ」


 それを思い出した途端、サッと血の気が引いて、だんだんと怖くなってきた。


 ザッ、ザッ……。


 はっ、早く起き上がって、ここから逃げなくちゃ……!


< 159 / 295 >

この作品をシェア

pagetop