イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない
「痛たたた。ああ、ドロドロだ……」
転んだせいで手が少し擦りむいて、ズボンも土で汚れるし。大事なキーホルダーはなくすし……ほんとついてない。
少し涙目になりながら、わたしが立ち上がろうとしたとき。
遠くから、誰かの足音がした気がした。
え……?
ザッ、ザッ。
足音は、少しずつ大きくなってきて。
うそ、誰かがこっちに近づいてくる……?
他の登山客? それとも……クマ!?
こんな辺り一面、木が生い茂っている険しい山道なら、クマとかの動物がいてもおかしくないだろうし。
わたしは最近テレビで、登山客がクマに襲われて大ケガをしたというニュースを立て続けに見たことを思い出した。
「ひぃっ」
それを思い出した途端、サッと血の気が引いて、だんだんと怖くなってきた。
ザッ、ザッ……。
はっ、早く起き上がって、ここから逃げなくちゃ……!