天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
「また新人が入内してくるんで練習していたんですよ」

「うちの子を練習台にするのやめて。それに、その自己紹介の仕方やめた方がいいわよ」

「人の話を勝手に聞くのはやめてもらっていいですかぁ?」

「聞きたくて聞いてるわけじゃないわよ。勉強に集中できないから外に行っててちょうだい」

 娘々は、翔紫様と蘭珠様に筆の持ち方を教えている最中だ。

 まだ三歳になられたばかりだというのに、なかなかの教育母っぷりだ。

 娘々が三歳くらいのときは、筆なんか渡したら部屋中墨だらけにしたことを忘れているのだろうか。

 娘々に似ていると言われている、やんちゃな翔紫様でさえ、ちゃんと座ってお利口に筆を持っている。

「亘々、博陽を連れて散歩でもしてこい」

 翔紫様は背筋を伸ばして座ったまま、横目で私を見て言った。

 三歳にしてこの流暢な言葉。神童通り越して怖ろしくなる。

 まだ見た目は幼児なので、大人の霊が憑依しているのかと思うくらいの違和感だ。

 娘々もおませで口達者だったけれど、ここまでではなかった。
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