天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~
 暖かい春の陽ざしを浴びながら、重たい博陽様を抱っこして庭を歩く。

「私の人生は、あの方と出会った時から始まりました……」

 博陽様に語りかけるというよりも、まるで歌うように独り言を呟いた。

「正直、それまでの人生なんてクソみたいなものでしたよ。

 え、汚い言葉使いをするなって?

 道端に落ちているクソでもまだ綺麗な方ですよ、本当に毎日糞尿まみれ。あれは地獄でした。

 色々な地獄を見てきましたが、あれほど酷いものはなかった。貧しい農村で生まれた私は、十二歳で孤児となりました。

その年は干ばつによる大飢饉に襲われ、子どもたちに食料を分け与えていた両親は軽い風邪で亡くなりました。

幼い弟や妹もいたので、私は女衒に行くことを決意しました。それほど多くない銅貨でしたが、弟や妹が当面の間生きていくことはできます。

 私と同じく売られた少女たち数十人が、都に行くために船に乗せられました。私はその中で一番若かったので、姉さんたちに可愛がってもらいました。

 一週間近く船に乗っていたのですが、食料はほとんど与えてもらえませんでした。それだけではなく、売人が姉さんたちに手を出していたのです。
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