学校イチ人気者なアイドルに恋する私。を、なぜかそのお兄さんが愛してくるんだが。
手をつなぐか、おんぶか、迷った。
どっちなら自然にできるだろうって、そんなことばっか。
こんなの隙あらば狙うようなクズと同レベルだ。
「まことーー?」
「なーーにーー?」
サアアアアア───と、木々を動かす風。
汗ばんだ髪を揺らしてくれる夏風は、キラキラと涼しい木漏れ日も一緒に連れてきた。
暑いはずなのに爽やかにも感じさせてくる、夏。
「彼氏とどうだーーー?」
「えーっとねえ!しあわせだーーー!!」
この顔が見られるならいーよ。
私の気持ちを知って泣かせるくらいなら、上鷹のことだけを考えて笑っていてくれたほうがいい。
真琴にいちばん似合うものは笑顔なんだから。
「りっちゃんは好きな人とかいないのーー?」
「…んーー」
「もしできたらいちばんに応援するね!!」
「……ありがと」